3月16日日曜日、今年もさいたまマラソンの8kmに出場した。天気予報は関東南岸を通過する低気圧のため確実に雨と予報されていた。当日は未明から降り出し、家をでる午前7時には本格的な雨になっていた。自宅から会場であるさいたまアリーナまではバスと電車で35分弱である。昨年はトイレに並んで時間をロスして荷物を預けるトラックの出発時間に間に合わず、第2便のトラックに荷物を預けた反省から、家を15分程早くでて、着替えを先に済ませてからトイレに行くようにした。
天気が雨でしかも冬型の気圧配置で寒いという予報だったので、当日の服装については相当考えていた。冬のマラソン大会で雨の場合、長袖のインナーに半袖のシャツを重ね着して、その上からビニールカッパを羽織り、走って暑くなってきたら脱いで沿道のボランティアの人に渡して捨ててもらうというのが多い服装である。私も100円均一店で購入した使い捨てのビニールカッパを準備したが、当日はかなり雨脚も強く、時折北風も吹く空模様だったので、ビニールカッパは止めにした。その代わりにユニクロのナイロンのウインドブレーカーで走ることにした。暑くなっても8キロ走なのでそのころにはゴールしていると考えた。むしろスタート前の待機場所で冷たい雨に打たれる時間をどう凌ぐかに重きをおいた服装にした。9:00のスタートのための待機場所への誘導は8:20にアナウンスがあり、スタート時刻まで40分雨に打たれながら待機しなければならない。気温は5℃、北風は2mと予報されたが、時折4m位の冷たい北風が雨と共に吹き付ける。腹と背中にホッカイロを張り、腕、肩、胸、腹部にワセリンを塗ってある。ナイロンのウインドブレーカーに当たった雨粒が滴り落ちる程の雨の量である。


冷たい雨に打たれながら40分待機するのはつらい。小刻みに足踏みし腕を小さく振りながら筋肉を動かして発熱するようにした。じっとしてるとどんどん体が冷えてきてしまう。ワセリン塗布の効果は大きいようで、塗ってない首の後ろから背中にかけて雨で冷たくなってくるが、塗った箇所は特に冷えは感じないのが判る。そうこうしている内にスタート時刻となり、集団でノロノロと前に進みだした。アリーナの外周を半周以上に渡って出場者が待機していたので、スタート地点に移動するまで15分ほどかかった。やっとスタート地点を通過した。激しくなる雨の中、今年のマラソンレースが始まった。後ろから若いスピードランナーが追い抜いてくる。友人どうしで参加しているのだろうさかんにおしゃべりしながら駆けている人がいる。アリーナを出て、高崎線、宇都宮線、京浜東北線などのJR線を越える長い跨線橋を渡り、右に折れるとさいたま市を南北に南下する中山道だ。去年この辺りでランナーを鼓舞していたサンバのリズムは今年は聞こえてこない。雨天のせいだろうか。もちろんカーニバル衣装のお姉さんの姿も今年はない。
中山道は直線なので走りやすい。北浦和駅近くになると沿道にちらほら応援の人達の姿が見える。手に手製の応援プラカードを持ったもい人もいて、ランナーにがんばって!と声掛けしてくれる。寒い雨の中ありがたいことである。北浦和商店会の付近に給水所が設けてある。中学生くらいの若いボランティアがテーブルにどんどんポカリスエットの紙コップを置いていく。置くそばからランナーが手にする。私も手前のコップを手にして飲む。ボランティアの少女たちは飲料を注ぎながら元気よく「頑張ってください!」と声を出しながら動いている。若い声に力をもらい2つめのコップを掴んで飲み干し、また駆けだす。100m程続いた給水エリアを通過して、左に曲がる道は元町通り。閑静な住宅街に入り応援の人影もまばらである。本太中学校脇の坂がけっこうきつい。坂を上りきると産業道路に突き当たり突き当たりを右折する。ゴールまであと1kmだ。息が上がってくる。冷たい雨の吹き付ける中、なぜ自分は走っているのだろうか。この身体ひとつで対峙するしかない状況がつづく。これがランニングのレースである。この68歳の身体ひとつで、今持っているすべてを振り絞って、走る。これは自分に課した挑戦である。相手はいない。この自分に課した挑戦を毎年続けるだろう。来年も再来年もそしてこの身体が動けなくなるまで走るだろう。そんなことを考えているうちに駒場サッカー場の正門に来た。ゴールは真近である。正門を入って陸上競技場に駆け込む。400mのトラックを1周するとゴールである。赤いアンツーカーのトラックの一番内側を走る。昔見慣れた景色である。中学の陸上部で千葉市の陸上競技場を走ったことを思い出す。トラックの内側に間隔をおいて若いボランティアの人達が立っていて、「頑張って、ゴールはもうすぐです。」と声をかけてくれる。GOOLと書かれた立て看板のところを通過した。ボランティアに「ゴールです、おつかれさまです。」と声をかけられた。タイムは1:01:31だった。

へろへろになりながらゴールをしたが、その後の預けた荷物の引き取り手続きが、雨天のせいで混乱して、冷たい雨の下でかなり待たされた。やっと自分の荷物を引き取って更衣室に向かう頃には体が冷え切ってとてもゴールの達成感に浸るような心境ではなかった。混んだ更衣室で冷たくびしょの濡れのインナーを乾いたシャツに着替えて、やっと人心地ついた。今年のさいたまマラソンは達成感というよりも、終わった感が大きかった。でも完走したことで自分を褒めることとしよう。がんばりました。
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